和食が食べたい

アメリカ生活やインターンの話

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スピードが命?スタートアップの特徴

インターン先は創設10年目ぐらいの食品メーカーです。アジア系のスープや麺が主な商品で、アメリカ中のお客さんに買われていて、いくつかの食品会社やレストランのメニューにも使われているそうです。

 

僕の主な仕事は、商品の配送と在庫管理です。お客さんのオーダー通りに商品を箱に詰めて配送業者の人に渡したり、お客さんの需要や冷凍庫のスペースなどを考慮して商品開発チームと生産量を決めたりしています。

 

社長や社員さん曰く、この会社は”スタートアップ”だそうです。

 

「創設10年目って結構経ってない?」「スタートアップってIT企業のことを指すんじゃないの?」と思ってしまいますが、そもそも”スタートアップ”の定義は何なのか調べてみたところ、

 

 全く新しいビジネスモデルを開発し、短期間で急激な成長を遂げてイグジット(株式上場や株式売却)を狙う人々の一時的な集合体

スタートアップって何だ?|エンジャパンの転職大辞典|エン転職

 

 

だそうです。

この定義を見るとなおさら「うちはスタートアップと呼んでいいのか?」と思ってしまいますが(特に”全く新しいビジネスモデル”と”一時的な集合体”の部分)、社長がスタートアップと思っていればスタートアップなのでしょう。業種や創業何年以内という定義もないですし。

実際、この10年は商品開発や人材確保の土台作りに注力していて、最近になってようやく一般向けに販売を始めたようなので、事業自体はまだ始めたてです。いろいろなことが目まぐるしく動いていきます。

 

なんだかんだ働き始めて3か月経ちましたが、この3か月(自称)スタートアップで働いてみて気づいたことを紹介していきたいと思います。

 

マニュアルは自分で作る

先ほど説明した通り、主な仕事は商品の配送と在庫管理です。今までは基本的に会社の近くのアメリカ西海岸が主な配送先だったのですが、僕が来る直前にAmazonでの販売も始め、最近一部のお客さんから高いレビューを頂いたおかげで、一気にアメリカ中から注文が来るようになりました。Amazon半端ねえ...

 

お客さんが増えるのはいいことですが、新しいことをすると必ず新しい問題に直面します。僕がここ最近まで直面していた問題は「気温」です。

僕が住んでいる地域は肌寒いのですが、季節的にはアメリカも夏です。会社の商品は普段冷凍庫に保存されていて、冷たい状態でお客さんに届けなくてはいけないので暑い地域や遠い地域への配送は大変です。アメリカってでかすぎる上に、州によって気温が全然違う...。

ここ2か月間、お客さんから「スープが熱いんですけど!」という苦情メールをたくさんいただきました。みなさんごめんなさい。(特にテキサス州の方々)

 

Amazon販売を始めてから初めての夏なので、保冷剤をどれだけ箱に入れたら良いかなどのマニュアルなんて存在しません。僕が失敗を重ねながら答えを見つけなくてはいけません。

結局、配送先が○○度以上なら、保冷剤○個とドライアイス○ポンドなら問題ないと結論を出しましたが、今度は「配送コストがかかりすぎる」という新たな問題に直面したので、今はこの問題の解決策を考え続けています。

 

「気温」の問題と向き合っていた2か月間、お客さんのクレームと失敗だらけで家帰ってもしょんぼりしていましたが、最近ようやくこれらの失敗を前向きにとらえることができるようになりました。

マニュアルってあると便利ですが、その通りにやればうまくいってしまうので何も考えなくなってしまいます。マニュアルがないからこそ自分で色々考えながら仕事ができますし、今まで全く縁のなかったアメリカの会社の仕事のマニュアルの一部を自分が作っていて、今後働く人に重宝されるんだと考えると誇らしいです。会社に爪痕残してます。

 

新しい問題に直面するたびに頭を抱えて悩み続けますが、自分で一から解決策を考えるという経験をたくさん積ませてもらっているのはかなり大きいです

 

 

無茶ぶりの連続

社長から直接「今日中にこれやって!」と新しく任される仕事が、まれに「いやいや無理っしょ!」という量だったりします。

社長が鬼なのではありません(たまに鬼です)。新しい仕事なので誰も適切な仕事量を知らないのです

 

僕も社長も日々試行錯誤の連続です。何年も開発に費やした商品も実際売れないとなると販売を即やめますし、スープの売り上げが伸び悩みそうな夏に向けてに冷たいヌードルサラダみたいなのを開発しようと急に決まったりします。これらの新しい決断に振り回され続けてます。

 

このヌードルサラダの試作品作りと配送という仕事もよく頼まれる仕事です。今となってはヌードルサラダ24個が一日の限界と判明していますが、最初に任されたときは60セットでした。

僕も社長も、最初は何個のヌードルサラダを作って配送するのが一日の許容範囲か知らないので、60個頼まれたときは「オーケイ!!!」となんの疑問もなく引き受けましたが、麺をひたすら茹でている最中に「これ無理じゃね?」と気づきました。

 

結局その日は配送時間に間に合わないうえ、夜10時まで一人で麺を茹でてサラダを盛り付けていました。この日以上に「アメリカに来て何をやっているんだ俺は...」と思った日はありません。

(社長に「あれは無茶ぶりすぎた」ということで一日お休みをもらえたので、2時間半かけてDAMJoySoundが搭載されているカラオケ屋さんに行ってストレス発散してきました)

 

これほどの無茶ぶりはもうないですが、たまに「うおっマジか!」という仕事量の仕事を任されます。未知数なことに関しては誰も適切な仕事量を知りませんからね。

ただ新しい仕事の後には必ず「昨日のあの仕事やってみてどうだった?」とフィードバックを求めてきます。インターンの意見も尊重してもらえて迅速に改善してくれるのはありがたいです。

 

早さよりも正確さ

スタートアップと聞くと、「とにかく早い!早く仕事を回さなきゃ!」というイメージでした。確かに色々なことが目まぐるしく動いていくのですが、実際に重視しろと言われるのは早さよりも正確さです。

 

僕の会社には、一日に何度も飛び交う合言葉があります。ダブルチェックという言葉です。

 

最初に挙げた暑い地域への配送のように、初めて直面するミスには寛容ですが、商品の個数間違いのようなケアレスミスにはかなり厳しいです。

事業始めたてのスタートアップはまだ認知しているお客さんも少ないですし、その少ないお客さんに対して、防げるはずだったケアレスミスをしてしまうのは大きな痛手だからです。

 

「あの商品、箱に詰め忘れたかも...」という不安が少しでもあるなら、テープでぐるぐる巻きになった箱でも開いて確認しろ。それがしたくないなら箱に詰める段階でダブルチェックをしろ。と配送の仕事を教えてもらった時に強く言われました。

 

自分は慎重なほうだと思っていましたが、序盤に何回かケアレスミスをしてしまいましたし、面倒くさがりながらもダブルチェックをしてみたら、本当に間違っていて、事なきを得たことは何度もあります。「絶対そんな簡単なミスしないだろう」と思っていることでも案外ミスしてしまうものなんですね。

大雑把な国アメリカでより慎重な人間になりました。

 

 

 以上この3か月働いてみて感じたことです。

未だに英語で苦戦しまくっていますが、しょんぼりして家に帰ることも少なくなってきました。英語は伸びている実感があまりないのですが、メンタルは強くなっています。確実に。

 

残り約4か月。強く生きます。